ウォーム・スプリングス温泉, ネバダ州

夢で見るのはたいがい現実にはありえない風景で、ときに悲しいほど美しいものです。

それが温泉だとしたら、こんな場所かもしれません。

廃墟の温泉

ゴールドラッシュで栄えたのも今は昔。

Entrance

ネバダ州の荒野に残されたゴーストタウン、ウォーム・スプリングスの廃墟には、その地名のとおり温泉が湧きます。

KEEP OUT

湯の色は何とも美しいターコイズ・ブルー。

Changing Room1

直接の関係性はないにせよ、近隣にはターコイズ(トルコ石)鉱山があり、ウォーム・スプリングス産の名を冠した宝飾品が広く市場に出回っています。

Pool

人知れず朽ちていく温浴施設の廃虚で、美しい湯だけが、なみなみとプールに注がれているのは奇妙で、どこか物悲しくもあります。

源泉は、廃墟の裏手のはげ山にあります。

Water Outlet2

それが長い流路を通じて斜面を自然落下し、最終的にプールに注がれます。

その過程で、高温の源泉が43℃の適温に自然冷却されます。

Water Inlet

水路の両脇は雪が積もっているわけではなく、石灰質を含む温泉成分が長い年月をかけて析出したものです。

Conduit

プールの底にはこの析出物が分厚く積み上がり、フカフカとして地に足の着いた感覚がありません。

それに光が乱反射して、世にも奇妙な色の温泉ができあがっているというわけです。

プールの深さは更衣室の近辺が最も浅く、そこから遠ざかるにつれて大人の背丈ほどになります。

Changing Room2

水面から荒野を見渡す限り、生きているものは見当たりません。

裏を返せば、あなたが存在することを認識する者は誰もいません。

こんなとき、哲学的には次のような三通りの考え方があるといいます。

  1. 誰も認識しなくても、あなたは存在し、周りの人はそれを知り得る。科学的実在論
  2. 誰も認識しなくても、あなたは存在するが、周りの人がそれを知る術はない。反実在論
  3. 誰も認識しなければ、あなたは存在しない。観念論

From the Water Surface

心象風景のように現実味のない温泉に浸かっていると、そんな単純そうな議論にさえ結論を下すのは難しく思われます。

Warm Springs, ウォーム・スプリングス, ネバダ州, アメリカ
私の好み [4/5]
日帰り入浴 可 (立入禁止の掲示あり)
宿泊 不可
公式サイト なし

そういえば…

これまた現実味がありません。

Chimney Hot Springs

チムニー・ホットスプリングス, ウォーム・スプリングス, ネバダ州, アメリカ

ウォーム・スプリングスから車で40分走ったところの荒野に、ぽっかりと穴が開いています。

穴からは66℃の激アツの源泉が噴き出し、安易に近付けるスポットではありません。

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Ken Springfield