アリゾナ州

ヴェルデ・ホットスプリングス - アメリカの温泉

2019年6月16日

これほど奇妙で、美しい温泉を私は見たことがありません。

1920年代創業の風変わりなホテルが遥か昔に焼失し、その廃墟はかつてヌーディストの楽園として知られ、それは今日でもさして変わりありません。

そこへの道中で、私は愛車を失いました。

よく読んで!

正しい道を知れば、ヴェルデ温泉にたどり着くのは難しくありません。

スタート地点は、アリゾナ観光の拠点として有名なセドナにほど近い、キャンプ・ヴェルデという田舎町です。

グランド・キャニオン、アンテロープ・キャニオン、ホースシューベンドといった観光スポットの数々は、ヴェルデ温泉の前では大量消費型の色あせたものに見えるかもしれません。

Fossil Creek Permit Area

キャンプ・ヴェルデからハイウェイ260号線を12kmほど南東へ向かい、Fossil Creek Roadという未舗装道を右折します。

ここでレンジャー(自然保護官)に停車させられます。

この先のフォッシル・クリーク自然保護区へ進入するには、許可証を事前購入する必要があるためです。

幸い、ヴェルデ温泉は自然保護区をかすめるような位置にあるので、許可は不要です。

レンジャーに温泉へ行きたい旨を伝えれば、通してもらえます。

Dirt Road

そこからダート道を約30km南下するため、最低地上高の高いトラックかSUVが必須ですが、道なりなので難しくはないでしょう。

一方、州都フェニックスからGoogleマップに従って進めば、私が車を全損したように、100%の確率で悲劇が待っています。

あるぱか
お馬鹿さんね…
うん、そうなんだ。
かぴばら

後述のとおり、ヴェルデ温泉へは川を歩いて、あるいは泳いで渡るルートを選ばねばなりません。

Googleがおすすめする温泉直結のルート(Dugas Road)は、想像を絶する悪路なのです。

Take a Hike 1

ヴェルデ川沿いまで峡谷を降下したところがChilds Dispersed Camping Areaという無料のキャンプ場。

くみ取り式トイレ以外のサービスは存在せず、キャンプ上級者向けです。

Take a Hike 2

車を降り、ヴェルデ川を上流方向へ4kmほど歩きます。

温泉は川の対岸にありますが、キャンプ場周辺は水深が深く流れも速いので、かぎ状に迂回する形です。

Verde River 1

氾濫原にあったと思われる散策路は鉄砲水で完全に消失していました。

さて、安全に対岸へ渡れそうなポイントに到着しました。

Verde River 2

最も水量の少ない場合でも太ももまで川に浸かる必要があります。

増水すれば即危険な水深なので、数日前までの天候を下調べしたうえで、危ないと思ったら引き返す勇気も必要です。

奇妙にも美しい空間

Overview

狂騒の20年代に創業し、1962年に焼失した温泉ホテルの廃墟がここにあります。

宿泊施設は撤去されているものの、土台部分と浴室周辺は奇跡的に残存しています。

River View

ヴェルデ川を眼下に望む数メートル高い段丘に位置し、素晴らしい眺望。

最も手前の岩盤に洞窟が掘られ、湯が流出しています。

Cavern 1

内部を探ってみると、かつて浴槽があったと思われる窪みを見つけましたが、入浴できません。

最深部には源泉があると思われますが、真っ暗なので調査は断念。

Cavern 2

洞窟の横には、大きな露天風呂があります。

泉温は37℃のぬるめで、無味無臭。

Outdoor Pool 1

残り二つの浴槽とは使用源泉が異なるようです。

意外なことに水深が2m以上あり、大人が立ち湯をしても足が底に届きません。

Outdoor Pool 2

浴槽の底は自然の岩盤になっていて、その隙間から大きな気泡が昇ってきます。

足元湧出の温泉ということを意味しています。

Small Tub

カラフルな湯屋の奥には、一人サイズの最も小さい浴槽があります。

いよいよ、歴史的なグラフィティ(落書き)の数々で彩られた空間に入ります。

Indoor Pool 1

四人サイズの浴槽が一つ。

座った時にちょうど良い深さがあります。

Indoor Pool 4

入浴のルールはClothing Optional。

かつてそうであったように、今日でもヌーディストが集う楽園ですが、水着を着用しても構いません。

Water Outlet 1

木か女体を模したグラフィティの陰部に位置する湯口からは、炭酸の泡付きと共に源泉がかけ流されています。

源泉は甘い香りを伴う金気臭を発し、泉温40℃。

Water Outlet 2

湯屋の壁は温泉ホテル当時のものですが、天井は失われています。

日中はアリゾナの直射日光を遮るものがないので、日差しが傾く朝夕の方が快適に入浴できそうです。

Indoor Pool 2

排水口は水面にあるほか、浴槽の底にもあり、そちらは普段ボウリングのピンで封されています。

この構造により清掃時には湯を抜くことができるため、浴槽内は清潔に保たれています。

Indoor Pool 3

一度目は己の準備不足で愛車を失い、長らく失意の底にありましたが、ようやく気持ちの整理がつき、二度目の挑戦で、色鮮やかな楽園に辿り着きました。

その感動は、筆舌に尽くしがたいものがあります。

まとめ

Verde Hot Springs, トント国立森林公園, アリゾナ州, アメリカ

私の好み:

ココがポイント

グラフィティの世界感がすごいよ。

  • 日帰り入浴: 可
  • 宿泊: 不可 (近隣にキャンプ場あり)

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