シエラ温泉, カリフォルニア州

精神世界、スピリチュアルといった思想的潮流は、1960~70年代のカリフォルニア州で隆盛した霊性復興運動「ニューエイジ」を主な起源とするとされています。

ニューエイジを生んだ西海岸の気質は温泉との親和性が高く、ありのままの自分を知り、自分らしく生きる場としての温泉施設が、ビジネスとして成立しています。

グローブ・ホテル

私はこのホテルに泊まることに及び腰でした。

The Globe Hotel 1

というのも、Haunted(幽霊が出る)という前評判があり、実際、がらんとしたゴーストタウンで生きながらえる旧式の建物には、いかにも出そうな雰囲気がありました。

しかし、ここはシエラ温泉直営のホテル。

The Globe Hotel 3

連泊客でなければ、温泉のあるエリアから車で数分離れた当ホテルに宿泊することになります。

ロビーからゲストルームに至るまで全てが重厚で、今にも歴史を語りだしそうな感じがあります。

The Globe Hotel 4

それにしても、こんな場所で東洋人が寝泊りしている方がよっぽど怪奇現象かも…などと考えていたら、何のことはなく熟睡して爽やかな朝を迎えたのでした。

共用のキッチンは機能的。

The Globe Hotel 2

最寄りの町、ネバダ州第二の都市リノで食材を調達して、自炊するのがおすすめです。

シエラ温泉

シエラ温泉は、リトリート(Retreat)のためのワークショップセンターとして定義されています。

「リトリート」とは元来、撤退とか避難を意味する単語ですが、今日的には、日常生活から離れて自分と向き合う時間を持つことで、新たな自分として再出発するという意味で用いられます。

Office 1

温泉施設の敷地は、ローカル飛行場を通り抜けたところにある、森の中に広がっています。

グローブ・ホテルの宿泊者であっても、メインロッジでチェックインを済ませる必要があります。

メインロッジには受付、連泊客用のゲストルーム、そしてレストランがあります。

Office 2

ロビーの装飾に、ブッダや観音菩薩のモチーフが見られるのが「ニューエイジ」っぽいといえます。

三ヶ所ある温泉は広い敷地内に点在していて、メインロッジから向かう場合でも車を使った方が楽でしょう(フェニックス・バスを除く)。

まずはメインプールに行ってみます。

Trail

駐車場から一番遠いのがこのプールで、林道を10分弱歩くことになります。

メインプールの手前の斜面に、公式には紹介されていない温泉があります。

Small Tubs 1

既製品のバスタブが二つ無造作に置かれ、塩ビのパイプを通じて源泉が投入されます。

泉温は35℃ほど。

不感温度でなかなか快適ですが、タブが清掃されていないのと、林道を行き交う人から丸見えなのが難点です。

Small Tubs 2

メインプールの右手に見えるのが更衣室兼シャワールーム。

正面に見える天文台のような建物が、テンプル・ドームと呼ばれる内風呂。

Temple Dome Hot Pool 1

その向こうに屋外の温泉プール(温度:約38℃)とサウナがあります。

施設で最も泉温の高い43℃の源泉を、テンプル・ドームでは楽しむことができます。

五角形の天窓から外光が差し込み、明るい室内には硫化水素臭が充満しています。

Temple Dome Hot Pool 2

源泉は、円形の浴槽に敷き詰められた白い砂の部分から噴出する足元湧出式です。

宗教的なステンドグラスの左右には、二つの水風呂があります。

Temple Dome Hot Pool 3

反対側には七福神の布袋様のような木像が配置され、東洋的なエッセンスを感じます。

言い忘れましたが、この施設の温浴エリアは全てクロージング・オプショナル(Clothing Optional)です。

Temple Dome Hot Pool 4

ありのままの姿の老若男女が、やさしい微笑みをたたえて交流する美しい世界…

郷に入りては郷に従えで、私も全裸で微笑んでみたものの、さすがに動揺を隠せません。

The Phoenix Baths 1

というわけで、フェニックス・バスにやってきました。

ここはメインロッジの裏手にあり、first-come-first-serve(先着順)で利用できる貸切風呂です。

The Phoenix Baths 2

貸切風呂は二つしかないので、先客がいる場合はここで待ちます。

建物は見晴らしの良い斜面の中腹にあります。

The Phoenix Baths 3

手前側の浴室は三方を灰色の壁に囲まれ、閉鎖的な印象です。

しかし源泉温度が33℃ほどと低いため、肌寒い朝晩にはこちらの貸切風呂の方が快適に過ごせます。

The Phoenix Baths 4

シエラ温泉で私が最も気に入ったのは、奥側の貸切風呂です。

Open-air Bathroom 1

使用源泉は先ほどの浴室と同じ。

しかし、角部屋で開口部が多く、それらが全て網戸になっているのが異なります。

Open-air Bathroom 2

水栓を取り外して空の状態から、およそ30分で新鮮な湯が浴槽に満たされます。

Open-air Bathroom 3

風通しがいいので硫化水素臭はそれほど感じられませんが、ツルツル、ヌルヌルの浴感が素晴らしい。

Open-air Bathroom 4

頭を空っぽにして、溶き卵状の湯の花をもてあそぶ、その瞬間がリトリート。

Open-air Bathroom 5

最後に向かった温泉は、メディテーション・プールです。

小ぢんまりとした岩風呂で温度は38℃程度。

ワイルドで、日本の露天風呂のイメージに近いのがここです。

The Meditation Pool

西洋医学の発達につれて温泉の効能が軽んじられ、ビジネスとしての温泉がすっかり衰退してしまったアメリカ合衆国において、シエラ温泉のあり方は注目に値します。

東洋人が温泉を好むことと、東洋思想を重要視するニューエイジの流れを汲むコミュニティが温泉を中心に成立していることは、決して無関係ではないように思われます。

俄然興味が湧いてきました。

今後は、西海岸に点在する同様のスピリチュアル系温泉を訪れ、洞察を深めていきます。

Sierra Hot Springs, シエラビル, カリフォルニア州, アメリカ
私の好み[4/5]
日帰り入浴
宿泊
公式サイトあり

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Ken Springfield