然別峡の野湯群(鹿の湯、メノコの湯、ペニチカの湯、崖下の湯、ダム下の湯), 北海道

然別峡の国有林内に大量に存在する野湯は、かつて秘湯として耳目を集めることが多かったものの、最近では表立って紹介されることは少ないようです。

一部のファンが温泉を掘り広げる行為などを、北海道森林管理局が公式に非難していることも背景にあるのでしょう。

当然のことながら、温泉は湧き続けています。

然別峡野営場(鹿の湯)

ユーヤンベツ川とも呼ばれるシイシカリベツ川沿いは、稀に見る地熱地帯で沢山の野湯が存在します。

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その中でも比較的よく整備された野湯が、国設・然別峡野営場内にあります。

キャンプ場の営業期間は7~9月。

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自然湧出の野湯なので年中利用できますが、営業期間中は最低限の清掃がされています。

日帰り入浴であれば無料、または寸志で入ることができます。

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シイシカリベツ川にせり出した形で人工的に造成され、簡易的な脱衣所まで設置されています。

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露天風呂と形容した方が適切に思われるこちらの野湯は、「鹿の湯」または「鹿見の湯」として知られています。

美しい笹濁りの湯は42℃程度の適温でした。

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夫婦(めおと)の湯

鹿の湯の源泉は、より原始的な二つの湯溜まりから供給されます。

それらが「夫婦の湯」です。

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鹿の湯と隣り合っているのに違う名前を冠しているのは、鹿の湯の誕生以前から存在していた歴史に秘密があるようです。

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山側にある湯溜まりは立ち湯できるほどの深さがあり、泉温は約45℃とかなり熱め。

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一方、川側にある湯溜まりは泉温50℃近く、一瞬たりとも入れたものではありません。

ダム下の湯

その他の野湯群は、鹿の湯からシイシカリベツ川を上流へ遡ったエリアに点在します。

これらへ向かう林道は崩壊しているわけでもないのに常に封鎖され、車両の乗り入れができません。

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秘湯ファンが加水パイプを設置したり土地を改変したりする行為を、森林管理局が明確に禁止していることが背景にあると思われます。

近隣にある然別峡かんの温泉の公式サイトにも『現在は行った人はおりません。探究しないことをお勧めします』と明記されています。

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この意味深な表現から何かを感じ取った者は、人知れず藪の中に吸い込まれていくことでしょう。

本音と建て前。

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「ダム下の湯」は轟音を立てる砂防ダムの真下にあるので、最も見つけやすい部類に入ります。

茶褐色で金気臭を伴うのが特徴的な泉質。

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湧出量はさほど多くなく、そのため湯溜まりは40℃程度のぬる湯に仕上がっていました。

メノコの湯

ダム下の湯へ向かう獣道を途中で右にそれると、「メノコの湯」に到着。

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美しく白濁して濃厚な硫化水素臭を伴います。

湯溜まりの温度は約45℃と熱めでした。

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川面から2mほど上方の段丘にあるため、鉄砲水で自然破壊される可能性は低く、よく整備されて快適に湯浴みできました。

川原を見下ろすと、三つの窪みがあります。

崖下の湯

このうち二つに湯が張られており、これらが「崖下の湯」として知られています。

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メノコの湯の真下の湯溜まりは浅過ぎて入浴に適していませんでした。

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上流側の湯溜まりには、メノコの湯とは打って変わって無色透明の湯が洞窟から供給されています。

この至近距離で異なる様相の温泉が湧出するのは、正に自然の驚異です。

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約42℃の適温で長湯可能でした。

ペニチカの湯(チニカの湯)

崖下の湯から川原を砂防ダム方面へ遡ると、「ペニチカの湯」または「チニカの湯」と呼ばれる野湯があります。

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かつては野湯群の中で最大級とされたようですが、川面にせり出しているため流出したようです。

辛うじて残る湯溜まりには、60℃を超える源泉が煮えたぎるかのように湧き上がっていました。

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生物多様性に富む日本の野湯での入浴には、荒涼としたアメリカの野湯とは訳が違う、困難さがあります。

ブユやアブに襲撃されるのは当然のこと。

高確率でヘビに遭遇し、運が悪ければヒグマと挨拶する可能性もあります。

シリオパの湯、テムジンの湯、キヌプの湯、ピラの湯、マクペカの湯、対岸の湯など他にも多くの野湯が隠れているようですが、私は全コンプリートを断念しました。

欲張らず、野営場内の鹿の湯と夫婦の湯ぐらいに留めておくのが賢明でしょう。

本音と建て前。

然別峡(しかりべつきょう)の野湯群, 鹿追町, 北海道
評価[4/5]
日帰り入浴
宿泊可 (然別峡野営場にて)
公式サイトなし

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Ken Springfield