飯坂温泉 共同浴場 切湯, 福島県

東北一の歓楽街温泉として知られた福島県・飯坂温泉には、9つの共同浴場があります。

風格あるたたずまいに改築された鯖湖(さばこ)湯や波来(はこ)湯が有名ですが、昭和の激シブ共同浴場、切(きり)湯も現役です。

波来湯周辺から切湯を望む

松尾芭蕉『おくのほそ道』にも記録のある歴史的な温泉地、飯坂温泉には独特の風景があります。

Ex-Hakoyu 1

平安時代の801年に開湯したと言われる歴史を持つ公衆浴場、波来湯は2011年に全面改築され、まだ新しい様子で摺上(すりかみ)川を見下ろしています。

一方、昭和の時代に盛んだった団体旅行や企業の慰安旅行が激減、それらを支えてきたような旅館群は物寂しい姿を見せています。

Ex-Hakoyu 2

東日本大震災の影響もあって街には廃墟や空き地が目立ちます。

足湯が整備された川沿いの公園の突き当りには、「波来湯分湯槽」があります。

Ex-Hakoyu 3

鯖湖湯と波来湯で用いられる複数の源泉が、ここで混合されています。

この地点から対岸を望むと、右手に川を横切る温泉配管があり、正面に見えるのが旅館「花乃湯」です。

Exterior

川ギリギリまでせりだした実用一辺倒の建物の凄みが、高度経済成長の残熱を今日に伝えています。

さて、最下層の奥まっている部分は、実は旅館じゃなくて公衆浴場なのです。

公衆浴場「切湯」

Entrance 1

福島交通飯坂温泉駅前に架かる十綱(とつな)橋を渡り、対岸にやってきました。

木製の看板に「切湯」と書かれていますが、建物は路面より下にあるため、まったく目立ちません。

Entrance 2

階段の途中の赤い屋根のところに券売機があり、入浴料は200円。

現在では摺上川に向かって開けていますが、かつては建て込んでおり、その残影が「花乃湯」の壁面に見えます。

Entrance 3

ガード下に入っていくような物々しい雰囲気。

「秘密基地」という単語を思い出しました。

思い起こせば子供の頃、欲しくて仕方がなかった秘密基地は、30年経った今でも手に入れていない…

Underground 1

行き止まりが神棚になっていて、左手に男女別の浴室入り口があります。

コンクリート打放しの無骨な空間に、いよいよワクワクしてきました。

Changing Room

脱衣室は狭く、全ての更衣棚が使われることはほとんど考えられません。

浴室の天井付近は男湯と女湯の壁が無く、狭い空間に開放感をプラスしています。

Bathroom 2

浴槽は長方形のものが一つ。

カランすら設置されていない、究極のミニマリズムです。

Bathroom 1

導専(どうせん)の湯や仙気(せんけ)の湯と同様、切湯が使用する若竹分湯槽の源泉は、湧出点の温度が60℃。

そのため、熱い湯に慣れている常連客に向けて注意を喚起する掲示があります。

Notice

浴槽を横断するパイプは、「一般の方々」には熱すぎる飯坂温泉の湯を適温に保つための、後付けの工夫です。

横向きのパイプを引き抜くと、何の変哲もない塩ビの湯口から、激アツの源泉が注がれます。

Water Outlet

無味無臭でクセのない泉質。

通常、源泉は浴槽外に捨てられるままになっています。

Bathroom 3

もったいない、なんて言える泉温ではありません。

浴槽が小さいので、熱くするのも冷ますのも自由自在なのが切湯の良いところです。

Underground 2

シャキッとするあつ湯で、目が覚めました。

階段の上から光が差し込みます。

秘密基地を出て、現実の世界に戻らなくてはなりません。

共同浴場 切湯, 飯坂温泉, 福島市
私の好み[3/5]
日帰り入浴可 (6:00 – 22:00)
宿泊不可
公式サイトあり

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Ken Springfield