開湯は平安時代の807年といわれる山形県、肘折温泉。
約1万年前の火山活動で形成されたカルデラ地形の中に自噴する源泉。
出羽三山(でわさんざん)の山岳信仰と関係があり、その行者たちによって発見されたというのが通説です。
温泉街のシンボル
昔ながらの街並みを残している温泉街のほぼ中央に位置するのが、共同浴場上の湯。
3軒存在する共同浴場のうち、公式には唯一、観光客向けに開放されているのが上の湯で、かつ肘折温泉の象徴的存在です。
いかにも公共施設といった風情の、コンクリート製のがっしりとした外観。
1階は男女別の内風呂、2階は地域の集会所になっています。
2階へ上がる階段の横に温泉が溜められています。
地域住民により、洗濯などに用いられていると思われます。
消防設備が格納された建物の横面から、湯座神社(または薬師神社)へと上る石段が始まっています。
泉源は建物の真後ろにあるようです。
入ってすぐのところが番台です。
温泉街の宿泊客は無料入浴券をもらえますが、立ち寄り湯でもたったの250円。
浴場にはカランやシャワーが無いので、衛生的観点から「かけ湯」が特に重要です。
『下の方から順に上へと20回程度』とのこと。
脱衣所は広い。


「冷え湯」とは!?
男湯の様子。
10人は余裕で入れそうな大きな浴槽が一つ。
湯口はお地蔵様の台座の下にあります。
女湯に面した高い位置に、かつて湯口であったと思しき支柱がありますが、稼働していませんでした。
浴槽と脱衣所との間の狭いスペースに、ぬるい水が常時落とされています。
カラン代わりに使ってよいのでしょうが、少々謎めいています。
湯口付近は温泉成分で赤茶けていますが、浴槽の湯はそこまで着色していません。
黄土色に、もやがかかっているものの、浴槽の底が見えるぐらいに透明です。
湧出点での泉温は43.5℃で、供用場所での温度は約43℃。
熱くもなく、ぬるくもない適温ですが、上の湯の使用源泉は「冷え湯」といわれます。
旅館が引湯している源泉と比較した場合、炭酸成分が強い一方で金気や塩分が少なく、湯上りが爽やかだから、とのこと。
鈍い私には最初よく分かりませんでしたが、その特徴は飲泉すると如実に感じられました。
「あがり湯」用に、適度に冷まされた源泉が用意されています。
これで身体の粗熱を取ると……
あ!ほんとだ、さっぱりした~
まとめ
共同浴場 上(かみ)の湯, 肘折(ひじおり)温泉, 大蔵村, 山形県
私の好み
- 種類日帰り
- ルール男女別
- 塩素消毒無し
- 泉温43.5℃(湧出点)