雌阿寒(めあかん)温泉 野中温泉本館

強烈なアブラ臭硫化水素臭を放つ湯は、野中温泉の元経営者である世界最高齢の男性、野中正造(まさぞう)さんの長寿の秘けつといわれています。

一方で、使い方を誤れば重大な硫化水素中毒を引き起こしてきた危険な側面もあり、温泉の奥深さを思い知らされます。


激安の日帰り入浴施設

2011年まで「野中温泉ユースホステル」として宿泊客を迎え入れてきた野中温泉本館は、現在では日帰り入浴専用の施設として営業しています。

この温泉地で宿泊したい方は、すぐ隣の民営国民宿舎「山の宿 野中温泉」を予約してください。

そこでも良質の温泉を楽しむことができますが、本館の湯はさらに強烈な印象をもたらします。

Exterior

旧来の建物を残しながら、玄関部分はログハウス調にリノベーションされています。

入浴料金はわずか200円。

「山の宿」が露天風呂付きで日帰り入浴料金が350円なので、内風呂だけの本館を差別化する必要があったにせよ、こんなに安くしちゃって大丈夫なのでしょうか?

Entrance

脱衣所へ向かうと、硫化水素中毒の危険があるので長湯は避けるように張り紙されています。

硫化水素の恐怖と恩恵

実は、「山の宿」とは反対側の隣に位置する温泉宿「オンネトー温泉 景福」では、2014年に入浴中の男性が意識不明の重体となったことで、休業に追い込まれています。

Caution

それ以前にも同じ浴槽で2名が溺死および心疾患で死亡しており、実態は硫化水素中毒による致死であったという見方が濃厚です。

それだけ含有成分の多い泉質ということで、温泉経営者は浴室の換気に十分注意する必要があり、入浴者も長湯を避けてこちらのロビーで小まめに休憩するなど、自己防衛を心がける必要があります。

Lounge

もっとも、本館の内風呂は半露天風呂といえるぐらい窓が大きく開放され、浴室の構造も自然換気がしっかりなされるよう工夫されているので過度に心配する必要はありません。

それはこの明るい浴室に足を踏み入れれば分かるでしょう。

Panorama

神秘的なエメラルドグリーンの源泉が総木造りの浴槽に勢いよく注がれ、そして湯尻から豪快に排出されています。

強烈なアブラ臭硫化水素臭が鼻孔をくすぐります。

Washbowl

銭湯に欠かすことのできないケロリンおけと、角材でできた素朴な腰かけ以外には、カランもシャワーもありません。

掛け湯するには、湯口の右側に常時かけ流されているぬるめの湯を使うのがよいでしょう。

Two Outlets

浴槽に注がれる源泉の温度は44℃ほど。

真夏でなければ心地よく入浴できる温度です。

Water Outlet

温泉成分は大きな湯の花の塊を形成しています。

それは溶き卵のような様相を呈して浴槽の底に沈殿して、湯の透明度が保たれています。

Deposits

野中温泉の二代目として旅館を守ってきた野中正造さんは、2018年現在、存命人物のうち世界最高齢男性(113歳)としてギネス世界記録に認定されています。

その長寿の秘けつが温泉であるということはもはや疑いようもありません。

本物の温泉は、使い方によって毒にも薬にもなり得ることを如実に表しています。

Ceiling

温泉とは元来、そうした二面性があるにもかかわらず、硫化水素中毒による痛ましい事故が起きるたびに、負の側面ばかりが殊更に強調され、過剰な規制が論じられるのには感心しません。

人為的に加工されて温泉らしさを失った「安全」な湯に浸かり、飽食の時代に生きる弛緩しきった心の持ちようでは、温泉に毒される事態は避けられても、いずれ他の何かに毒されてしまうことでしょう。

何事も適度な緊張感が必要だということです。

野中温泉本館, 雌阿寒温泉, 足寄町, 北海道
評価[5/5]
日帰り入浴可 (7:00 – 19:00)
宿泊不可
公式サイトなし

コメント

  1. カウガールさん
    臭いは言わずもがな、目でも楽しめる温泉ですね。

  2. カウガール より:

    お湯めっちゃきれいな緑色ですね~!外ののどかな景色とマッチしていてよい感じ。

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